皮脂欠乏症
皮脂欠乏症とは?
皮膚の表面を覆っている脂が少なくなりその結果皮膚の水分が蒸発して乾燥を生じる病気です。年齢が増すに従い症状が出やすいのが特徴です。かゆみを伴い掻くと増悪して湿疹になります。こうなると市販薬ではなかなか治りません。
皮脂欠乏症になる原因は?
皮膚の表面の水分の維持には、皮脂、天然保湿因子、角質細胞間脂質が関係します。加齢になればこれらの物質が減少することによって水分の調節が出来なくなり皮膚の表面が乾燥しやすい状態になり皮脂欠乏症になります。
ドライスキンでは角質細胞が剥がれてすき間ができ、水分が蒸発しやすくなっております。また、アレルゲン(抗原)、微生物の皮膚への進入を容易にし、物理的、化学的刺激に対する過敏性を向上させていろんな皮膚病を起こしやすくしています。
増悪因子は?
- 空気の乾燥
- 硬いタオルで洗う
- 熱いお風呂に長時間入る。
- コタツに長時間はいる
- 電気毛布の使用
- アルコール、香辛料などの刺激物
臨床所見
初期には乾燥と角質のはがれが目立ちます。かゆみが僅かにあります。 | |
スキンケアーをせずに放置すると亀の甲羅のように皮膚がひび割れ、赤みが生じかゆみもかなり強くなります。 | |
掻破を続けるとこのようになり病院で薬をもらわなければ治りません。 |
治療は?
軽症では保湿剤が主になります。
1.ワセリン、親水軟膏
被膜形成により水分の蒸発を防いでいます。安全性は高いがべたつき感があります。
2.尿素製剤
吸湿して角層に水分を与え、安全性が高く安価である。湿度が低い環境では保湿性が低下しやすく、また掻き傷があると刺激性がある。
3.ヘパリン含有類似物質
吸湿して角層に水分を与えます。
中等度以上ではステロイド外用剤、かゆみ止めの内服剤(抗ヒスタミン剤)
スキンケアー
空気が乾燥している冬に増悪しますので初冬の時からの心がけが大切です。
- 入浴後にすぐ保湿剤を塗ること。入浴後時間が経ってからではあまり効果がありません。
- 液体のボディーソープを硬いナイロンタオルにつけてゴシゴシ洗うのはよくありません。
- 熱いお風呂に長時間は入らないこと。
- お部屋の乾燥に注意してください。加湿器、観葉植物、濡れたバスタオルを置くだけで効果はあります。
- 刺激の少ない木綿の肌着が良いです。
- 掻けば必ず症状はひどくなります。爪は日頃から短く切っておきましょう。